自治会や町内会の情報発信方法で最近はホームページを検討されるところも多いのではないでしょうか?私は現在、自治会長なんていうものを引き受けており自治会のホームページについて検討を進めているところです。私の場合は仕事柄ホームページを立ち上げることには何の問題もありませんが、自治会長を永遠に続けるわけにもいかないので如何に運営できる人を巻き込んでいくかが課題であると思っています。
自治会や町内会のホームページはなぜ必要か?
「自治会や町内会にホームページなんて必要なの?」
と思われる方も多いでしょう。自治会や町内会が発信する情報なんて回覧板で十分だし急な連絡は連絡網を作っておけばいいでしょう?LINEとか活用すれば電話の連絡網もいらないし…確かに一理あります。しかし現在では自治会野町内会に入らないという世帯も増えてきて地域の情報がすべての世帯に行き渡らないという可能性も高くなっています。
「自治会や町内会に加入していないならしょうがないんじゃね?」
それはちょっと違うと思っています。自治会や町内会に加入していない人は自治会の行事やイベントに参加する際には有料となるなどの差があったとしても地域の情報を得ることが出来る方法があることは大切と思っています。自治会や町内会を組織している主目的はその地域の困りごと、道路の補修や防犯灯の管理、街頭消火器の管理など行政機関とのパイプ役にもなっています。道路工事のお知らせなど行政から提供される情報も回覧板などを通じて会員に情報発信しています。
自治会や町内会に加入していないからと言ってそれらの情報にアクセスできないというのは問題があると思います。
低下傾向にある自治会・町内会への加入率
かつては地域コミュニティが密接でご近所づきあいも多く自治会や町内会の運営も特段問題もなかったでしょう。しかし現在は多くの地域社会でご近所さん同士の交流も疎遠になっていて都市部では隣の人がどんな人かわからないのは当たり前になっています。そんな状況ですから都市部を中心に自治会や町内会への加入率も減少の一途を辿っています。
特に若年世帯の加入率の低下は顕著で将来の自治会や町内会の存続について深刻な問題ともいえます。若年世帯が自治会や町内会に加入しない理由としては組長や役員などの役割が回ってきても共働きが多く、また子供の習い事の送迎や部活の送迎などで忙しく自治会や町内会のことなんてやってられないというところが挙げられるでしょう。自治会や町内会に加入しない理由をまとめてみましょう。
1.自治会や町内会に加入するメリットが感じられない
本来、自治会や町内会に加入するのはメリットのために加入するのではないと思います。ともに助け合うという考えで地域が安心して暮らせる場所であるように自治会や町内会が組織されているはずです。都市では様々なサービスや商品がありお金さえ払えば困ることは何もないと考えられています。
しかし災害の時などは自治会が組織されていないと地域は大混乱です。また災害時だけでなく平常時も自治会がしっかり組織されていて防犯活動などを活発に行っている地域などは犯罪の発生率も少なくなります。また、地域の防犯灯の電気代や消火器の購入費、集会場や公民館の維持費、防災備蓄品などの購入費などの費用は自治会や町内会の会費から支払われています。
ですから自治会や町内会に加入していない人が「メリットがないから加入しない」のではなく「この地域になくてはならない自治会や町内会」と感じてもらい加入する気になってもらうことが必要です。
2.役員、組長、会費の負担が大きい
自治会や町内会の規模にもよりますが会員になると色々と負担に感じることがあるのも事実です。私の自治会では10年から15年に一度「組長」の役が回ってきます。だいたいその中から自治会長や副自治会長、会計の3役を選び自治会を運営していきます。毎月1回組長会が開催され市の広報を配布したり回覧物を配ったり自治会内の行事等について話し合ったりしています。
自治会費は月500円で年間6,000円です。「自治会や町内会に加入するメリットを感じられない」という考えの方にはこの金額は負担と感じるかもしれませんが、地域の安心安全のためには安いものと思います。
3.活動内容やお金の使い方への不信
自治会や町内会のような団体は高齢の同じ人が何年も会長や役員を担っていて新しいことをしない、改善しないというところも多いようです。また、お金の使い方についても有耶無耶にしている部分も多く不信感を抱く人もいると思います。私の自治会でもお金の面で2つ問題点がありました。ひとつは自治会費から祭礼費に毎年40円万くらい支出していたこと。祭礼費は宗教的な行事にかかわることなので自治会費からの支出は好ましくありません。自治会費とは別に「協賛金」を募ることで明確にしました。もうひとつは役員や組長の慰労金。年間40万円くらいなのですがその金額が規約等に記載されていることもなく根拠がなかったため規約に分かりやすく記載しました。
自治会や町内会に加入していない人への情報発信
先にも書きましたが自治会や町内会に加入していない人は地域の情報を知らなくていいという事はありません。逆に地域の情報を知ることで自治会や町内会への加入を促すことに繋げたほうがいいと考えます。自治会や町内会に加入していないと回覧板が回ってこないとか組のグループラインに入れないという事は仕方ありませんが地域のお祭り情報、道路工事による通行止め情報などは必要だと思います。
自治会や町内会がホームページを運営するという事は自治会や町内会に加入していない人たちに地域の情報を伝えるにはだれでもアクセスできるという点では有効だと思います。自治会や町内会という組織はその地域を安心で安全な場所にするための任意の団体です。自治会や町内会に入っていないからと言って不利益になるようなことはしない方がいいと思います。自治会や町内会の情報を積極的に発信することで「自治会に加入しようかな?」という考えに導くことが大切ではないでしょうか?
自治会や町内会のホームページ制作
自治会や町内会のホームページを作ると言っても自治会や町内会の予算は限られています。また、運営するための知識やノウハウも必要です。継続してホームページで情報発信を行っていくためにはそこに係るヒトが必要です。おそらくほとんどの自治会ではホームページを運営し続けていくノウハウもヒトも無いでしょう。だからと言って自治会や町内会のホームページの制作も運営も業者に任せていたら相応の費用が必要となってきます。
では、どうしたらいいか?
自治会や町内会の会員から募るんです。
ホームページの運営は継続が必須です。特に自治会や町内会のホームページともなれば常にタイムリーな情報を提供していく必要があります。自治会や町内会の会員の若い世帯や世帯の中の未婚の子供などはホームページ運営のノウハウはなくとも少しの時間のトレーニングでホームページの運営位は可能になります。実際当オフィスで制作しているホームページもクライアントさんがご自身で更新されているところはたくさんあります。もちろん最初は皆さん知識も何もありませんでした。
自治会や町内会の中に「ホームページ運営の会」のような団体を作ってボランティアで活動してもらうんです。総会の情報、会計報告などの情報はもちろん回覧板もオンラインで見れるようにしたり行事の開催、中止の情報なども掲載していくと良いでしょう。
PTA不要論と自治会不要論
インターネット上にはPTA不要論とか自治会不要論があふれています。実際私の自治会の会員の方も「自治会って強制じゃないですよね!」とか「自治会に加入するかしないかは自由なんです!」とか声高に言われる方がいます。これはPTA不要論と同じで要はめんどくさいんです。
私はPTA会長もやったことがありこの手の話は当時も何度も聞かされました。PTA不要論をいう人はとにかく役員とかやりたくない…自治会不要論を言う人は自分の組長当番が近付くと…
まあ、言い出す動機わかりやすいんですが。多分インターネットで「PTA やめたい」とか「町内会 やめたい」とか検索するんでしょう。そうするとたくさんヒットします。PTAにしろ自治会にしろ町内会にしろ加入は強制ではないし強制する根拠もありません。完全に任意のボランティア団体です。でも無くなったら困ることたくさんあるよね。ってことでどこの地域でも自治会や町内会が組織されています。
PTA会長やった時もそうでしたがどの役員の方もやる前はめんどくさそうなのですが年度が終わると「やってよかった」と言います。自治会や町内会もそんなもんです。本当はほとんどの人が近所の人と仲良くワイワイやるのが楽しかったり思ってるのに取り組む前は「めんどくさい」んです。
自治会や町内会がインターネットを活用して情報発信していくことはとても重要で、特に若年世帯や「自治会なんてめんどくさい」を思っている人にアプローチしていき、自治会や町内会に参加してもらえる第一歩なのかと思います。