「自治会活動のデジタル化」の投稿の中で自治会運営アプリについてちょっと触れました。自治会の運営をデジタル化することによって効率化出来たり、これまでは自治会活動にかかわることのなかった比較的若い世代の方たちも関わることが出来るようになったり色々とメリットもあるようです。しかしながらこれらの自治会運営アプリの導入には自治会員の意見集約も必要ですし、導入におけるコスト面や技術面でのハードルも高いです。
色々と情報を検索してみると市区町村で導入の支援を行っているところもあるようです。コスト面や技術面で自治体の支援があるのは助かりますが様々なアプリがある中で選択の幅が狭くなってしまうというのはやや残念でもあります。
自治会運営アプリに求められるもの
自治会の運営でどの部分をデジタル化して効率化したほうが良いのか自治会長を1年ちょっとやった中で見えてきたものを挙げてみます。ちなみに私が自治会長をやっている町内は自治会員世帯が500世帯。未加入世帯が200世帯。自治会関連団体として「住みよいまちづくりの会」「シルバークラブ」「子ども会」「コミュニティバス運営協議会」「秋まつり実行委員会」「みこし会」等があります。自治会の予算規模は年間300万円。ただし100万円は所属校区の会費に充てられるので実質200万円です。
自治会内は約40の組から成り月に1回、組長会を自治会所有の集会場で開催しています。集会場は自治会内のグループや人であれば基本的に自由に利用が出来ます。もちろん事業活動や営利活動はダメですけど。行事はコロナ禍でしばらく自粛されていましたが今年度はほぼすべての行事が復活します。大きなものとしては夏休み中の子供向けの行事、秋まつり、その他にも清掃活動や防犯パトロール、登校見守り活動など行っています。
そんな自治会でデジタル化したほうがいいと思われるのは…
回覧板のデジタル化
回覧板のデジタル化、オンライン回覧板。まぁこれは真っ先に取り入れたいですね。基本的に毎月1回各組で回覧板を回していますが順調に回覧されても10日くらいは回覧し終わるまで掛かってしまいます。また、見落としたりする情報がある可能性もあるためオンラインで常に閲覧できるようにしておくことはとてもメリットがあると思います。
時々回覧してほしいと依頼があるものに「道路工事のお知らせ」があります。年度末など予算執行の関係上、工事の日程が決まって、それから次回の回覧版を回し始める日まで待っていると既に工事が始まってしまうなんてことも無くなります。今現在はそういうケースは現在は臨時に回覧していますが割と手間なんです。
行事参加者の集約
自治会や関連団体が行事を行うときに参加者の募集をすることがありますが、現在は回覧板に名前や連絡先を書き込む用紙を入れて回覧して記入してもらっています。回覧板をデジタル化すると参加者の募集もオンラインで行う必要があります。
行事管理&行事中止等の一斉配信
自治会や関連団体の行事が雨や台風などで急遽中止という事もあります。学校ではメール配信システムを導入しているようですが自治会ではまだ導入されていません。情報の一斉配信は行事のこと以外にも活用できそうです。また、行事の案内そのものの情報や参加者の集約も紐づけて管理できると便利ですね。
自治会費の集金
組長さんの仕事で最も負担に思われているのが自治会費やおまつりなどの協賛金の集金業務です。この集金業務がクレジットカード決済、スマホ決済など導入できるとかなり楽になると思います。私などは現在日常的に現金に触れることがほとんど無くなってしまっているので導入されたらうれしいシステムと思います。しかし高齢者を中心にまだまだ現金という方も多いので導入のハードルは高いと思います。
自治会デジタル化のハードル
自治会活動をデジタル化しようと考えてもそこには様々なハードルが待ち構えています。
会員の意見集約
自治会の運営をデジタル化するにあたり組長会などで話し合いますが当然意見が分かれます。デジタル回覧板ひとつをとってみても若い世代は「それがいい」と言い、高齢世代は「紙で十分」と言います。もちろん併用してやっていくことになると思いますがコストがかかるものでもあるので「紙で十分」という方たちを説得することが出来るかどうかが問題です。
技術的な問題
自治会の運営をデジタル化するにはそれなりの知識が必要となってきます。アプリなどを活用するにしてもその選定を誤ると無駄になってしまいかねません。自治会運営のどの部分をデジタル化していくのかをしっかり計画していかないと今のマイナカード問題のようになりかねません。
コストの問題
自治会の運営のデジタル化導入のハードルで一番高いのはコストかもしれません。ホームページで情報発信程度であれば技術と知識でカバーできることもありますが、自治会運営アプリを導入する場合には相当な負担となる場合もあります。
自治会運営アプリ
Yumicom
Yumicomは株式会社ワンベルウッズが提供しているオールインワンコミュニケーション・グループウェアで自治会や大型商業施設における煩雑化していた報連相がアプリ1つで完結できるというものです。
- イベントカレンダー機能
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自治会カレンダーから参加申し込みしたり当日の出欠状況確認、雨天中止など暖簾宅もプッシュ通知で送信可能。
- グループチャット機能
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役員や実行委員などのメンバーでグループを作成してオンライン会議が可能。
- デジタル回覧板
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回覧板がアップされたら一斉通知で一気に情報拡散が可能。
結ネット
結ネット(ゆいねっと)は自治体運営組織や各種団体が電子回覧板などの情報発信ツールとして利用し、災害時には安否確認システムとしても活用できるアプリです。「クラウド型町内会運営システム」、「地域事業者リアルタイム情報発信システム」、「災害時の安否確認システム」の3システムを統合したクラウド型ポータルサービスです。
- リアルタイム情報伝達
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新しい記事が投稿されるとプッシュ通知でお知らせしてくれます。情報をリアルタイムに配信できる便利な機能です。
- 視覚的にわかりやすいアイコン
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町内行事、防災情報、広報、役員会など自治会運営にマッチしたアイコンが設定されていて視覚的に操作がしやすい。
- 自治会運営に便利なツールが色々
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オンラインでの総会、役員会が可能でオンラインで議案に対する賛否を回答出来たり、学童保育、塾などの子供の見守り記録、コロナ等健康状態の申告、地域事業者との連携などもあります。
まちにてぃ
「まちにてぃ」は上で紹介した「結ネット」をそれぞれの自治会にあわせて利用できるサービスとなっています。
- 自治会に合わせてカスタマイズ
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それぞれの自治会に合わせて結ネットへの機能追加、機能の削除、新機能の開発など対応しています。
- 住民説明会を全国で開催
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アプリ利用の補助を全国で行ってくれます。
- カスタマーサービス
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運営相談・わからないこと・改善してほしい機能など24時間365日しています。
自治会運営アプリの選び方
自治会運営アプリの導入は上で書いたようにハードルが高い問題があります。しかしだからと言って導入しないという選択をするのはちょっと問題があるとは思います。若い年代の自治会への加入を促すには新しいやり方の自治会運営を目指す必要があります。
自治会運営アプリはコスト面で導入は厳しいとは思いますが自分の自治会に合った、リスクの少ないものを選定する必要があります。アプリを使うという事は難しくてもまずはウェブサイトやSNSを活用した情報発信から始めるというのもひとつの手段だと思います。