「ウェブサイトとSNSの効果的な運用のヒント」の記事の中でちょっと触れましたが「ブログサービスの終焉」について考えてみます。ここで切り分けて考えておきたいのが「ブログサービスを利用したブログ」と「WordPressを活用して独自ドメインで自分で借りたレンタルサーバーで運営するブログ」は別物であるということです。
ブログサービスとWordPressブログの違い
- 費用負担が少ない
無料で利用できるため、初期費用や運営費用がほぼかからない。 - 初心者でも簡単に始められる
シンプルな操作でブログを開設・投稿できる。 - プラットフォーム依存
運営元の規約変更やサービス終了のリスクがある。 - カスタマイズ性が限定的
デザインや機能の変更に制限がある場合が多い。 - 広告表示
プラットフォーム側の広告が表示されることがあり、商用利用では不便。 - 独自ドメインの利用が制限される場合がある
基本的にサブドメインを使用する。 - 集客のしやすさ
プラットフォームの内部ネットワークやユーザーコミュニティを活用して、アクセスを得やすい。
- 自由度が高い
テーマやプラグインを使ってデザインや機能を自由にカスタマイズ可能。 - 独自ドメインが利用可能
ドメイン名を自由に設定でき、ブランドイメージを構築しやすい。 - 費用がかかる
サーバー代やドメイン取得費用が必要。 - 商用利用に最適
広告やアフィリエイトの配置が自由で、収益化に向いている。 - SEOに強い
プラグインや設定で、検索エンジン最適化を細かく行える。 - 運営や管理の手間
サーバー管理やセキュリティ対策など、ある程度の技術や知識が必要。 - 所有権の確保
ブログデータを自分で管理でき、プラットフォーム依存のリスクが少ない。
項目 | ブログサービス | WordPressブログ |
---|---|---|
費用 | 無料または低コスト | サーバーやドメイン費用が必要 |
自由度 | 制限あり | 高い |
商用利用 | 制限あり | 自由 |
カスタマイズ性 | 限定的 | 高度なカスタマイズ可能 |
管理負担 | 低い | サーバーやセキュリティ管理が必要 |
サービス終了のリスク | 高い | 自分で管理するため低い |
以上を踏まえてブログが本当にオワコンなのかを考えてみましょう。
ブログがオワコンと言われるわけ
ブログが「オワコン」と言われる背景には、SNSや動画メディアの台頭、検索エンジンのアルゴリズム変化、ユーザーのコンテンツ消費傾向の変化が挙げられます。
まず、TwitterやInstagram、TikTokといったSNSが普及し、短文や画像・動画で情報を手軽に発信・消費する文化が広まりました。これにより、詳細な情報を読む必要があるブログ形式が一部のユーザーにとって煩雑に感じられるようになりました。特に若年層では、即時性と視覚的要素を重視する傾向が強まり、ブログの利用が減少しています。
次に、検索エンジンのアルゴリズム変更によって、大規模な企業ブログや専門性の高いサイトが上位表示される傾向が強まっています。これにより、ブログが検索結果で埋もれるケースが増え、アクセス数が減少し、収益化が難しくなっていることも理由の一つです。
また、ユーザーの情報消費スタイルの変化も影響しています。SNSでは短時間で複数の情報を効率的に得られるため、長文を読むブログ形式に対する需要が減少していると言われます。特にスマートフォンが主流の現在、短時間で完結するコンテンツが好まれるため、ブログの存在感が相対的に薄れています。
これらの要因が重なり、ブログは一部で「オワコン」と見なされがちですが、深い情報発信や専門的な知識提供など、ブログならではの強みも健在です。そのため、戦略的に活用することで、依然として価値を発揮できるメディアと言えるでしょう。
ブログはオワコンではない:個人事業主や中小企業のブランディング視点から
ブログが「オワコン」と言われることもありますが、個人事業主や中小企業のブランディングの観点では、ウェブ制作の場面では依然として非常に有効なツールですしクライアント様の中にはブログを有効に活用し事業拡大に結びつけることに成功している方もいます。ブログが決してオワコンでは無いことの理由を挙げてみましょう。
1. 深い情報発信と専門性のアピール
ブログは、長文や詳細な内容で情報を発信できる点で、SNSを始めとする他の媒体にはない強みがあります。そのことから以下の効果が期待できます。
- 商品・サービスの詳細な説明
自社の商品やサービスの価値を分かりやすく伝えられるため、顧客やファンの理解と納得を深めることができます。 - 専門性の訴求
専門的な内容の記事を書くことで、自社がその分野の「専門家」であることを示し、信頼性を高めることができます。
例えば、地域密着型の建築業者が「家を建てる際の土地選びのポイント」や「リフォーム成功の秘訣」といった記事をブログに投稿することで、読者に役立つ情報を提供しつつ、専門性をアピールできます。また、ブログの記事にスタッフの写真などを掲載することにより親密感や信頼感を演出できます。
2. SEOによる継続的な集客効果
ブログの大きな強みは、検索エンジンを活用した集客です。SNSの投稿は一時的に注目を集めますがあっという間に人の目からは消えていきます。一方でブログ記事は検索結果に表示されることで、長期的にアクセスを生み出します。
- ロングテールキーワードへの対応
「地域名+業種名」や「特定の課題+解決方法」といった具体的なキーワードで記事を書くことで、新規顧客に効率よくリーチできます。 - 資産としてのブログ記事
一度作成した記事は、適宜更新することで長期間にわたり活用可能です。これが実はとても重要なことで一度作った資産は消えることがなくコツコツ記事を書いていくことでその資産はどんどん大きくなっていきます。
例えば、小規模なカフェが「自宅で簡単にできる本格コーヒーの淹れ方」といった記事を投稿すれば、地域の潜在的な顧客が検索を通じて店舗を知るきっかけになるかもしれません。
3. 信頼性とブランド価値の向上
SNSの短文投稿では、どうしても情報が浅くなりがちですが、ブログは深掘りした情報を提供することで、信頼感を築けます。
- 企業や事業主の姿勢を表現
事業の背景や理念、顧客に対する思いを文章で伝えることで、企業の人間味や価値観を伝えることができます。 - 差別化ポイントの発信
他社が気づいていない視点や独自のノウハウを公開することで、競合との差別化が図れます。
例えば、農家が「当農場で育てた野菜が美味しい理由」をブログで説明することで、商品への信頼性を高められるでしょう。SNSにおいての情報発信は「新商品」「新サービス」などの紹介に終わりがちで詳しい情報発信には向きません。
4. SNSとの相互補完性
ブログとSNSは対立するものではなく、むしろ相乗効果を発揮します。
- SNSからの流入
SNSでブログ記事をシェアすることで、フォロワーに詳細な情報を届けられます。 - ブログへの誘導
短文で興味を引き、ブログでさらに詳しい情報を提供する流れを作ることが可能です。
例えば、Instagramで投稿した商品写真に「詳しい使い方はこちらのブログで解説」とリンクを貼ることで、ブログにアクセスを誘導できます。しかし現在多くのブログを運営しながらSNSで発信している方はSNSでのみの情報発信になりがちでSNSは毎日更新しているのにブログの最終更新は半年前なんていうケースをよく見かけます。
5. 自社メディアとしての独自性
SNSは外部プラットフォームで運営されるため、仕様変更やサービス終了のリスクがあります。一方で、ブログは自社ウェブサイト内で運営する場合、自分たちのペースで情報発信が可能です。
- リスク回避
自社のブログを持つことで、SNS依存のリスクを軽減できます。 - 独自の世界観の構築
ブログのデザインや内容を通じて、自社のブランドイメージを一貫して表現できます。
ブログは即時性や拡散性でSNSに劣る面もありますが、深い情報発信や信頼性の向上、長期的なSEO効果といった点で、個人事業主や中小企業のブランディングにおいて強力なツールです。SNSと連携しつつ、自社ブログを運用することで、安定した集客基盤を築くことができます。ブログはオワコンどころか、効果的に活用すればブランディングの中心的な役割を果たし続けるでしょう。