グルメサイトの功罪(2)

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先日の投稿「グルメサイトの功罪(1)」の続きです。今回は「利用者投稿型」のグルメサイトについて考えてみました。

利用者投稿型のグルメサイトの場合

「先輩が美味しいといっていた~」
「店の雰囲気がいいって言う評判だよ~」
「ボリュームたっぷりで旨いって言う話しだよ~」

なんていう口コミで気になりこれまで行ったことのない飲食店に行ってみるなんて事はよくありますね。それをネット上で展開し超ビッグサイトになったのが「食べログ」です。パーティーや宴会のお店を探してネットで検索すれば必ずと言っていいほど、検索結果に表示されています。

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この「食べログ」は「価格コム」の運営会社と同じです。「価格コム」は例えばパソコンを購入しようと思ったときに、気になっている製品の価格を比較したり、その製品を実際に購入した人の評価や感想を読むことが出来ます。使い方によってはとても便利なサイトです。

しかし、同じような評価や感想は「食べログ」ではなかなか難しいものがあります。例えばラーメンを食べたいと思っていても、味も値段も何もかもその店ごとに異なります。製品のように価格の比較、味についての客観的な評価は難しいものがあります。

あるラーメン屋の評価について、普段コンビニ弁当で昼ごはんを済ませている人と日常から冷凍食品など使わず自分で作ったお弁当を食べている人の評価は明らかに異なるはずです。

自分の友人、会社の上司、学校の先輩など、その人の好みや傾向をわかっている場合はその評価や感想は信頼性があります。しかし、見ず知らずの人の旨い不味いの評価がどこまで信頼できるかというと「当てにならない」のではと思います。

もちろん多くの口コミ投稿をしている人は、その人自身もサイトを閲覧している人からも評価されていくので「この人の口コミは参考になる「この人の評価は当てにならない」等の選別もできるようになっては来るでしょう。そういう美味しいお店探しを楽しむ人たちにとってはなかなか楽しいコミュニティサイトなのかもしれません。

しかし、飲食店経営者(特に中小個人店舗)にとっては様々な問題を含んでいるのが利用者投稿型グルメサイトです。

利用者投稿型のグルメサイト問題点

飲食店の意思に関係なく店舗情報が公開される

利用者投稿型のグルメサイトの特徴は、そのグルメサイトを利用するユーザーが自分の行ったお店でこっそり写真を撮り(ちゃんと店長さんに断る人もいるとは思いますが)、自分の勝手な感想を投稿するというものです。そのグルメサイトに自分の行ったお店が登録されていなければ自分で登録します。お店の経営者さん、店長さんの了承無しにです。

そしてその勝手に登録された店舗の情報は飲食店の意思では簡単に削除できません。(表現の自由なのだそうだ)勝手に掲載されたことによってとても困っている飲食店経営者の方も多いのです。

秘密の“隠れ家”だから載せるな 大阪のバーが「食べログ」を提訴
秘密の隠れ家として人気を集めているバーの写真などを飲食店の情報投稿サイト「食べログ」に掲載され損害を受けたとして、大阪市の飲食店経営会社が、サイトを運営するカカクコム(東京)に掲載情報の削除と330万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴していたことが19日、分かった。同日開かれた第1回口頭弁論で、カカクコムは争う姿勢を示した。(サンケイスポーツ)
訴状などによると、バーは2010年から大阪市内のビルで営業している。看板を置かず1階に鉄の扉を設置し、インターホンを押して扉を開けてもらうと、階段を上った先の2階の出入り口には「開けるな」などの言葉が書かれた札が多数掛かっている。
店内は水槽を飾ったきれいなバーラウンジが広がり、意外性で客を驚かせる演出。訪れるのは常連客の紹介がほとんどで、店側は「秘密性を演出し、客の遊び心をそそることで、他の店との差別化を図ってきた」という。客には店の情報を口コミサイトなどに投稿しないよう求めていた。

飲食店の情報や口コミに偏りがある

大手のチェーン店なら口コミ数も100件を超え、その口コミや評価もある程度は参考になるかもしれません。しかし、多くの地方の飲食店(特に中小個人店)では口コミが2,3件です。その2,3件の口コミが信頼ある評論家のものならまだ良いのですが、どこの誰だかわからない人の評価です。味の好みも食べ物の好き嫌いもわかりません。食事の時にはたくさんお酒を飲む人なら利用金額も高くなってしまいます。

実際、ある日本料理店で宴会の単価が一人「6,000円前後」というお店で、そのお店の口コミを書いた人が相当飲んだのか使った金額が「15,000円~19,999円」となっていました。そのお店の料理長さんもとても困っておられましたが、その後、別の口コミが投稿されることはなく今でもその「15,000円~19,999円」使った人の口コミだけ表示されています。

ものすごい高級店に感じてしまいます。

店がお客さんを選べない

飲食店はどのお店もコンセプトやそのお店の経営者の想いがあらわれています。特に個人で経営しているようなお店であればなおさらです。

例えば、例えばコース料理で8,000円程度のレストランの場合、「美味しかった」と思う人もいれば「これだけの金とりゃ当たり前」「気取ってる」という感想を持つ人もいるかもしれません。逆に飲み放題付で4,500円というような居酒屋の場合「安くてボリュームがあった」と思う人もいれば「店が騒がしい」「料理が揚げ物ばっかり」という感想を持つ人もいるでしょう。

利用者投稿型グルメサイトに投稿する人は冷静にその店の感想をまとめられる人もいれば、その時の自分の気分をそのまま口コミとして投稿してしまう人もいます。お店側にもお客さんを選ぶ権利はあります。自分のお店に合わないお客さんには来て欲しくないですし、そんな人にとやかく言われたくないでしょう。

いいことはあまり投稿しない

このような利用者投稿型グルメサイトの場合、美味しかったことはあまり多くは書かれません。大抵、自分が気に入らなかったこと、自分の口に合わなかったことを主観的に書いています。もちろんそれらを否定するわけではありませんが、飲食店側から見れば脅威です。表現の自由とは言え、飲食店側にはそれらの投稿に対応する術は限られています。

クレーマーと冷静に評価する人の区別がつかない

インターネットの利用者投稿型グルメサイトの多くは匿名で投稿されています。匿名の場合、本音が出るという場合もありますが、多くの場合、好き放題に書かれています。中には悪質なクレーマーのような人もいます。そのような口コミ投稿も「表現の自由」ということで飲食店側ではどうしようもないことが多いのです。

飲食店がとるべき対応は?

以上に書いた問題点はあくまでも飲食店側目線からのものです。飲食店を利用する側からすると、利用者投稿型のグルメサイトは色んなお店を食べ歩いたり、それらについての情報交換をするという意味ではとても楽しいサイトなのかもしれません。しかし、飲食店にとってはあまりメリットのあるサイトとも思えません。「有料メンバー」になればお店の情報を編集したりは出来ますが、投稿された口コミについてはどうしようもありません。利用者投稿型グルメサイトの中には口コミを投稿した人への返事を出来る機能もありますが、クレーマーのような人には店側の想いはなかなか伝わりません。

もしあなたのお店のことが気になった人が検索サイトで「居酒屋×××× ○○市」と検索したとします。そして、検索結果の上位に利用者投稿型グルメサイトが表示されたとします。そのサイトでの評価やお店の情報が明らかにおかしなもの、その口コミが店のコンセプトとかけ離れていた場合、その人があなたのお店に来る可能性は限りなく低くなってしまいます。しかも、その情報を削除することも出来ないのです。そうなると死活問題です。

飲食店側で対応できる唯一と言っていい方法は「お店独自のホームページ」を持つことです。価格や営業時間、定休日などお店の正確な情報を掲載し、ブログなどを活用し店主や料理人のこだわりや想いを伝える事が重要です。検索サイトで「居酒屋×××× ○○市」と検索したときに上位に表示されていることも大切です。

お客さんには利用者投稿型グルメサイトの「利用者」の評価と、「お店独自のホームページ」でのお店側の想いを両方見てもらってその上で判断してもらえればよいのです。

参考サイト

元料理人が食べログの問題を指摘
「食べログ」にやらせ投稿 カカクコムが法的措置も
うちの店載せないで 佐賀市の飲食店「食べログ」提訴
「食べログ削除して」と提訴 札幌の店経営者
「食べログ」掲載は「営業妨害」か「表現の自由」か

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