
時々ご相談いただいたりするものにWordPressのダッシュボードに「PHPの更新を推奨」というアラート表示が出るけどどうしたらいいのか?というものがあります。これはそこに書かれている通り「PHPのバージョンをWordPressが推奨するものに変えてくださいね」というものです。この問題について解説しましょう。
「PHPの更新を推奨」と表示される原因
WordPress は動作に PHP を使用していますが、サーバー側で古いバージョンの PHP を使用していると以下の理由で警告が表示されます。
- 公式推奨バージョン未満
- WordPress 公式は最新の 安定版(通常はリリースから1〜2年以内) の PHP を推奨しています。
- 例えば、2025年現在では PHP 8.3以上 が推奨ラインです。
- 8.0 以下だと「更新を推奨」のメッセージが出ることが多いです。
- セキュリティサポートが終了している
- PHP 公式サポートはおおむね リリースから3年間。
- サポート終了(EOL)したバージョンは脆弱性が放置されるため、WordPress が警告を出します。
- パフォーマンスの問題
- 古い PHP は処理が遅く、WordPress の動作に影響するため、更新を促します。
対応方法
現在の PHP バージョンを確認
- WordPress ダッシュボード → ツール → サイトヘルス → 情報 → サーバー
- またはサーバーの PHP情報(phpinfo) でも確認可能。
PHP を更新する
- レンタルサーバーの管理画面で切り替え
- 例:エックスサーバー、ロリポップ、さくらインターネットなどは、コントロールパネルで PHP バージョンを選択可能。
- VPS / 専用サーバーの場合
- SSH で接続し、OSのパッケージマネージャ(apt / yum など)で PHP を更新。
- 複数バージョンを切り替えられる環境なら
update-alternatives
や PHP-FPM 設定変更で対応。
更新前の注意
- WordPress本体、テーマ、プラグインを最新にアップデート
- 必ずバックアップ(ファイル + DB)を取得
- 本番前にステージング環境で動作確認できると安全
対応しなかった場合のリスク
- セキュリティリスク
- 古い PHP の脆弱性が狙われ、サイト改ざんやマルウェア感染のリスク大。
- 特に WordPress は攻撃対象になりやすい。
- WordPress・プラグインの非対応
- 最新の WordPress やプラグインは古い PHP をサポートしなくなる。
- 例:PHP7.4以下は今後完全非対応の可能性あり。
- パフォーマンス低下
- PHP8系は7系に比べて2倍近く高速化されており、古いままだと速度面で損。
PHP更新後に発生する可能性のある問題
- テーマやプラグインが非対応でエラー
- 古いコードで
Deprecated
やFatal error
が出る場合あり。 - 特に
create_function()
や古い配列アクセス、each()
などは8系でエラー。
- 古いコードで
- 警告・注意表示(Warning / Deprecated)
- 動作はするが、ログに大量の警告が出るケース。
- PHP8.2以降では動的プロパティや古い関数でよく発生。
- サイトが真っ白(500エラー)になる
- 非対応プラグインやテーマがあると Fatal error でサイトが表示不能。
- その場合は FTP でプラグインを一時的に無効化して復旧させる。
安全に対応するための流れ(推奨)
- サイト全体をバックアップ
- WordPress本体・テーマ・プラグインを最新版に更新
- ステージング環境で PHP を切り替え動作確認
- 問題なければ本番の PHP を更新
- 更新後にエラーログを確認
- Deprecated が出た場合はテーマ・プラグインを修正 or 代替