「最新情報は公式SNSで」でいいのか?

katsuのブログ

「最新情報は公式SNSで」でいいのか?

最近、テレビやラジオなどのメディアで「最新情報は公式インスタグラムで」というアナウンスをよくに耳にします。市の広報やパンフレットなどでも「公式SNS」のQRコードが印刷されていたりします。

このようにSNSを活用した情報発信は、情報を手軽に住民や視聴者に届ける手段として有効かもしれませんが、そのSNSを利用していない人には情報が届かないという課題もあります。特に、都道府県や市町村といった行政機関がこのような発信方法を採用する場合、果たしてそれで十分なのかという疑問が生じます。

この記事では、メディアや行政の役割を踏まえ、SNSと公式ウェブサイトの使い分けの重要性について考えてみます。

メディアと行政の役割

メディアの役割は、公平で信頼性のある情報を広く社会に届けることにあります。一方、都道府県や市町村などの行政機関は、住民にとって必要不可欠な情報を確実に提供する責任があります。この2つの役割は、単に情報を発信するだけでなく、その情報が届く範囲や受け取る人々の多様性を考慮することが求められます。

特に行政の場合、災害情報や選挙の案内、地域の重要な決定事項など、すべての住民に関係する情報を発信することが多いため、情報が一部の人にしか届かない状況を避ける必要があります。

SNSで情報発信するメリットとデメリット

ほとんどの人がスマートフォンを利用するようになった昨今、SNSを活用した情報発信はとても便利です。しかしSNSのみに頼った情報発信には様々な問題があります。特に行政機関やメディアなどが発信する公共的な情報は出来るだけ多くに人がアクセスできることが重要です。そんなSNSを活用して情報発信するメリットとデメリットについて考えてみましょう。

SNSで情報発信するメリット

  1. SNSを活用して情報発信をする最大のメリットはその特性である「即時性と拡散力」です。SNSはスマートフォンなどから手軽に情報を瞬時に発信でき、特に緊急時にはその情報を見たユーザーが「シェア」するなど、その拡散力が大きな強みとなります。
  2. SNSで情報を発信する際にスマートフォンで撮影した写真や動画を活用することで、情報が直感的に伝わりやすくなります。
  3. 若年層を中心に、市町村の発行する広報を見ない、新聞もほとんど読まないが特定のSNSを利用している層に情報を届けやすいという特徴があります。
  4. 時にはコメントやメッセージを通じて、市民や住民の声を直接聞くことができる点もメリットです。

SNSで情報発信するデメリット

  1. SNSを利用していない人、特に高齢者やデジタル環境に不慣れな人々には情報が届かないという大きな課題があります。例えばXのユーザーは6000万人余り、Instagramは3300万人と言われています。また、スマートフォンにSNSアプリをインストールしているだけでほとんど利用していないというユーザーも相当数いるはずです。
  2. SNS上の情報は中傷やフェイクが多いと信頼性が低いと見なされることが多く、公式情報として認識されにくいことがあります。
  3. SNS上には膨大な情報が流れているため、行政機関の発信が埋もれてしまうリスクがあります。
  4. SNSは外部のプラットフォームであり、サービスの変更や停止に影響を受けやすいです。

公式ウェブサイトの活用が大切

SNSがこれだけ多くの人に利用される前は「詳しくはウェブで」が基本でした。しかし発信する側が「SNSのお手軽さ」にすっかり慣らされてしまい本来あるべき「より多くの人に情報を伝える」という考えが疎かになっている気がします。「SNSを活用して発信」ではなく「SNSも活用して発信」が正しい在り方なのではないかと考えます。

公式ウェブサイトでの情報発信の重要性

  1. 公式ウェブサイトは、インターネットに接続できる環境があれば誰でも利用でき、SNSに登録していない人でも情報にアクセスできます。
  2. 公式ウェブサイトはその自治体や機関の正式な情報源として認識され、情報の信頼性が高まります。
  3. ウェブサイトでは、災害時の詳細な情報や長期的な計画など、幅広い情報を体系的に提供できます。
  4. ウェブサイトは検索エンジンを通じてアクセスされるため、SNSを利用していない人にも情報が届きやすくなります。一方でSNSは検索エンジンでヒットすることはほとんどないのでSNSを利用していない人からアクセスされることはほとんどありません。

メディアと行政の情報発信のあり方

メディアや行政が最新情報を発信する際には、SNSと公式ウェブサイトを適切に使い分ける必要があります。公式ウェブサイトは、あらゆる人に公平に情報を提供する基盤として機能し、SNSはその情報を広める補完的な手段として活用されるべきです。

たとえば、災害情報であれば、公式ウェブサイトに詳細を掲載し、SNSを使ってその情報の概要やリンクを拡散するといった形が理想的です。これにより、緊急時でも多くの人に情報を届けつつ、詳細を確認したい人には信頼性の高い情報源を提供できます。

メディアや行政が最新情報を公式SNSのみで発信することには、多くの課題が伴います。特に行政機関にとって、情報の公平性や信頼性を確保することは最優先事項であり、そのためには公式ウェブサイトが基本となるべきです。

SNSは便利なツールですが、あくまで公式ウェブサイトの情報を補完し、住民とのコミュニケーションを促進するための手段として活用するべきです。すべての住民に情報が届く仕組みを構築するため、SNSと公式ウェブサイトのバランスを見直し、効果的な情報発信の方法を模索していくことが重要です。

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